目的地を間違い目標を見失い
出身地で悶々としながら視野を狭めている
世界は広いが世間は狭いもの
フラッシュバック地獄
四国と沖縄以外には行ってみた
どこにだってローソンやすき家があって
遠くへ来た実感は無かった
見たことのない景色や話し方の違う人と出会い
それでも結局カネと言語自体は共通で
その度に現実を突きつけられてきた
29歳の頃、同じバイト先には19歳の女の子
俺は翌月30歳になる
その女の子は翌々月20歳になる
将来の夢みたいな話をした時があって
その時に感じた自分のスケールの小ささ
つまんねぇ大人やってるなって感じた
だから翌月でバイト辞めてアパートも引き払う決心をした
30歳になったら人生半分
折り返しだと思ってた
リセットしたい
そんな欲に駆られ日本中をさまよった
親切な人もいればとんでもない場所に連れていった人もいた
何事も経験だっていうけど
生きてるうちに経験しなくて良いような経験もあった
怒涛の数年間
途方に暮れ
元々いた場所に戻ってきて数年が経ってる
視野が狭かった
ここは日本
その中をぐるぐるぐるぐるしてただけ
海外という広い世界があるじゃないか
と思った
ワーホリで日本に来てた外国人から言語を教わりながら
一緒に仕事しながら学び発声すると
驚いて喜んでくれた人がいっぱいいた
郷土料理を作って部屋に招いてくれたりした
別れの時はいつかまた会おうと言い合って
もっと語学を学びたいと思った
英語は世界語
英語よりも単純だったりして
単語さえ言えば理解してくれる
わからなければ英単語やジェスチャーを使えばそこそこコミュニケーションがとれる
そしてまた母国語で教えてくれる
仕事手順をメモる為に用意したノートは外国語でいっぱいになってった
語学を活かした仕事はできはしない
けれど興味はとてもある
意思疎通ができるだけで嬉しいと思えた
俺は家族で旅行に行った経験が無い
まして海外旅行なんて貴族だけのものだと思って生きてきたから
語学を学んだところで自分には全く関係ないと思ってた
それでも日本に来てくれた外国人と会話ができた事で意識は変わった
仕事にしようとは今のところ思ってないけど
他国の言語を学ぶことはしてみたい
そう思って本屋に行って立ち読みしてみてもイマイチだった
理屈は書かれてるけど難しい
小一時間くらいしたら飽きてしまった
やっぱり生の人間と対話して学ぶのが一番
現地に行くのが一番
漠然とそう思った
何一つ喋れなくても今のスマホは翻訳してくれるすげぇ機械だ
外国に今ポツンと置かれても日常会話くらいならなんとかなるんじゃないかと思ってる
同じ人間
何か食べて寝る
共通してる部分は同じ
あとは言語を本気で学んだらそこで生きていけるかもしれない
日本ほど治安が良くなくても
こんな恵まれて安全な日本で気を病んでるくらいなら
相応のリスクは負っても良いと思う
人はいつか死ぬ
ジェットコースターみたいな気分屋だから
死んでネタにされるくらいが面白い
残りの人生やり直す望みが高いとすれば
近くてタイ
遠くてカナダ
無茶苦茶な話だけど
このくらいの妄想でもしてないと生きて一日を終わらせるのが毎日ツラくてしんどい
人生はドラマ