杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

二次元の夢

三次元で生きる自分ら人間は、誰もが時々嫌な事、納得のいかない事に出くわす。

そんな時、漫画やアニメの中に浸って癒す人もいるだろう。それを二次元に走ったとか、逃げたとか、様々ある中で、自分は中立的、どちらとも言えない意見だったが、ある時を境に肯定的になった。

 

裏切らない。ただし自分だけのものにはできない。

それを理解してその世界に入り込む事で本質を見つけようとする。

 

これを三次元でやろうとすると、自分のような自己嫌悪、疑心暗鬼に陥るのが行く末。

 

 

そんな自分でも、二次元の夢を見た時があった。

二次元の自分を三次元の自分が一人で見ている感じのシチュエーション。

昔のファミコンのようなドットの映像で人生ゲームのような展開。登場するキャラクターは皆知っている人間ばかり。

三次元の自分は何一つ操作などできない。見てるだけ。

 

小学生の頃に好きだった近所の同級生の女の子と二人、公園でポケモン赤緑をしている。そういえば海でカニやヤドカリを捕まえたから、見せてあげる!ってその子の家にバケツを持って行って忘れて帰ってしまって、忘れてったからってその子は自分ちまで持ってきてくれた。これらは全部実話。

カクカクとした動きとカクカクとした文字での会話。

三次元の自分はその時の映像と音声を思い出して懐かしむ。楽しくて恥ずかしかったあの感じ。

 

そこから一気に歳月が経って、舞台は社会人になってからの世界。

 

ここにいるキャラクターは知ってる人もいれば知らない人もいる。小学生の頃のあの子はいない。自分は二次元の中でひたすら溶接をしていた。終わると寝て、またそれを繰り返してた。ある日突然あの女の子が現れた。

 

ここから先はあくまで夢の中の話で、実話じゃない。

久しぶりって話し掛けると、ちょっと付いてきてって仕事ほったらかしのまま変な建物の中に連れられて来た。知らない人がたくさん。俺が知っているのはその子だけ。ここは一体どこなの?って聞くと、婚活イベント会場だよって。俺、別に婚活とか興味ないし今またこうやって会えて喋れてるのが嬉しい。小学生の頃から、ずっと好きだったんだから。たぶん気付いてたよね?って聞いたら、もちろんって(笑)

三次元の俺は遠回しの無い直球で行われていく会話に冷や冷やしていた。

 

結婚とかわからないけど、今こうやって突然再会してみたけど、やっぱ好きで好きでたまんない!一緒にいようよって言ったら、うん!嬉しい!って言ってくれた。その日はもう、夢の中で夢のような甘い一日を過ごした。

二人で迎える朝、結婚に興味なかったけど、こんな毎日なら俺、結婚したい。今すぐにでも。って言ってた。そしたら、それはできないの…って言われて、二人の子供が現れた。

え?まさか結婚してるの?って聞いたら、うん。婚活イベントで知り合った人と、何と無くね。って。

三次元の俺はのたうち回った。胸が裂けそうで、苦しい。

 

じゃあ、昨日の喜びと幸せを感じたこの気持ちはどうしたら良い?って聞いたら、私も同じだよ。もっと早く聞きたかった。好きでいてくれてるって自信はあっても、確信できなかったから、あなたがわからなかったから…そう言い残して二人の小さな子供を連れどこかへ行ってしまった。

 

二次元の世界、また俺は今日も淡々と溶接をしている。

三次元の世界、俺は実際に失恋した時のように引きずって落ち込んででいる。

 

 

ここで起きた。夢を見ていた三次元の自分。

何だったのか、落ち込んではいない。けど胸にチクリと何かが刺さってる感じ。

今までに無い、不思議な夢だった。

 

 

実際あの子は今、どこでどうやって暮らしてるんだろう?そう考えさせられる夢だった。

 

幸あれ。