杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

不思議な気持ち

南に、とにかく南に向かった夏を思い返している。太平洋を左に。

気付いたら鹿児島にいて、初めて道に迷った。

 

俺はフェリーに乗らず沖縄に行こうとしていたんだ。もちろん行けなかった。

右と左を行ったり来たり、ガソリンを無駄にしているとようやく気付いて、東西南北じゃない、海は左と決めて進んだら、青森まで戻っていた。

 

逃げようとしても逃げられないと思った。

そうこうしていても時間は止まらない事をばあちゃんが身をもって教えてくれた。

 

 

今日、迷わず北に出発した。

快晴で波も高くない、夏場のような鮮度の落ち方もしない。食糧確保の行動をすべきだったのかもしれない。それなのにただ前と同じ道路をぼんやり進んだ。海は左にあるのさ、そんな何と無くな感じで。

前のトラック、なにわナンバーだ、へぇーと信号待ちしながら視線を左にやった時、海の向こうに佐渡島が見えた。今年の夏がフラッシュバックした。確かに自分はあそこにいて、すべき事をしていたよな。そう思い返し始めたら止まらないのが自分の性格。明らかに胸が詰まる感覚。吸って吐く、それが呼吸だと、それまで見向きもしなかったコンビニを見付ける度に喫煙場に立ち寄った。青空に煙を見て、燃焼してるのと吐き出す煙の色って違うよな、とか酸素って何だ、とか何かを紛らわそうとしてた。

 

 

今、迷っている。

暗くなる頃には山形、順調に流れたら秋田までギリ行けるかな?

 

なんて、そう思ってた出発の朝。

今、新潟市の中心部あたりで早くも寝袋に入っている。全然進めなかった。

このまま行けば当初の思い通り進めるし、右に突っ切れば福島にも宮城にも岩手にも寄れてしまう。フェリーに乗ればまた佐渡島に行ける。三択の選択肢の中、気持ちは揺れている。今いる地点が間違いなく分岐点。

後になってから後悔しないのはどれだろうじゃなく、今どうしたいのかを知りたいのに、思考が停止している。

 

 

刺激が欲しいんじゃない。人間関係がこじれるのが面倒なんじゃない。贅沢な食事も必要無い。欲しい物も特に無い。

 

男女問わず、この人間を理解しようとしてくれる人がいて、自分の存在を肯定できたら、どこにいても良い。

 

上っ面で生きてるけど、自分の本心を知りたいと思う。