杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

音の色や形と楽器

バンドではベースを弾いて歌っている

しかしギターを弾く事も覚え始めていた自分には

違和感があった

ちょうど良いストラップの長さもわからないまま迎えた本番

曲中にピックをポイして気付いたら指で弾いてたり

弦のどこを弾いてみてもしっくり来なくて

最後の最後まで自分の一部にできなかった

自分はベーシストでは無いなと思った

かといってギタリストでも無い

すごく中途半端な所にいる気がしてる

それでも歌は歌う

どっちの楽器であろうが歌う

逆に歌から離れて楽器と向き合いたいとも思ったけど

今は何を担当しても中途半端にしかできなくて

自信を失くしてしまった部分がある

担当してるのは何ですか?って聞かれても

何だろう?ってなる

何を担当したいのかもわからない

もちろんベースに対しての思い入れはある

一番長くやってきたから

でも本当に苦しかった30代に入ったばかりの頃

俺は始めたばかりのギターを知らない土地で弾いて歌っていた

どっちも思い通りにできるほど器用じゃないから

どっちかに専念したいけど

現状のバンドのままではベースを弾きながら歌う人ですと答えるのかな

そんな事を考えてしまう

俺がベースから出せる音は白か黒のどっちかで

もっとパステルのような音もビビットな音も出せる楽器だってわかってる

けど俺が弾くとベースの音は一色で

だからベースを担当するなら他の楽器の仲間が必要で

他のメロディ楽器との編成じゃないと思い描く表現ができない

だから急に一人になった時、無意識にギターを抱えて孤独な日々を生きた

不協和音でその時々の感情を表現して複雑な曲ばかり生まれた

30代になって始めたギターという楽器

曲名も言葉も無い曲と誰にも知られない場所で時間を共にしてきた

たくさんあるコードの大半がわからないけど

そう、今こんな気持ちだっていうのを代弁してくれる音色は出せる

パーカッションのようなリズムも出せる

歪んだエレキギターばかり聴いてきたから楽器そのものの概念が変わった

 

この葛藤をハッキリさせたかった

今回のライブでどう思うか

過去を現在進行系にした時にどう感じるか

だから次のライブも練習も予定も立てないで臨んだ

結果的に余計わからなくなってしまった

曲は一つの音では無くて音が重なり合って成り立ってる

そう考えると声も一つの楽器

コーラスにこだわってたのはそういう事だったのかと今回知れた

少ない人数だから尚更音に厚みと迫力が欲しい

声は一人一音出せる

演奏しながらの安定した発声はしんどいけど

演奏が破綻しない範囲でやろうと思った

理想はコーラスの得意なベースを迎え入れたい

俺はアコースティックギターに持ち替えて引き続きボーカルを

SEIROGANは3人組で定着してるけど

そのくらい変化があると表現の幅を大きく広げられる

楽しい音楽ができるだけありがたい事だけど

欲を出せば情景の浮かぶ感情を表現しきった音楽もしてみたい

まだまだやってみたい事がたくさん出てくる

求めれば求めるほど底無し

一度は一人で全部やるしかないかなと思ってたけど

一人ではできない事をこれからバンドでやってみたい

新しい曲がたくさん待ってる

どこまでできるだろう