杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

お月様

いてもたっても居られなくなる時がある。

衝動に理性が追い付かない現象。

温かい光に包まれたと思えばもう、お月様は目の前で手を差し伸べている。優しく微笑んでいて、身を委ねようと手を伸ばす自分が見える。

 

 

自分は誰なんだ?

自分が自分を、ただ冷静に見ている。

どっちが本物の自分かわからないまま、気が付くと息を切らしてうずくまって、胸を押さえている。苦しさと痛みで息を深く吸えない。身体はビリビリと痺れていて立ち上がれない。

 

見上げると決まって満月だ。

 

 

 

これは作り話じゃない。

 

 

あの日の夜もそうだった。ハンドルを両手でしっかり握っていても、左に引っぱられる。

日本海の崖っ淵、何度も何度もそれがやってきて、新潟の市街地まで来て夜明けを待った。

 

 

今日は満月だからとか、そんな意識はしていない。

まさかなと見上げた空には必ずまん丸い月がいて、不気味なくらい浮き上がって見えてくる。

 

 

もう気のせいでは済まない、そんな気がし始めてる。