杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

無慈悲

何も考えず、どこが焦点かもわからず、視界の空間をただ見てるだけ。

 

汗かいて頑張ってる人達、頭脳を駆使して頑張ってる人達、笑いたくないのに笑い、謝り、歯を食いしばって頑張ってる人達、皆それぞれ疲れて一日を送る。その対価としてカネを得る事ができる。

 

 

自分はどうだろう?

空を眺め、たまに時刻を確認して、果てしなく長い今日これからの時間に恐怖を感じる。これをしよう、してみようという気力が出てこない。これが明日も明後日も、これからずっと続くのかって思うと、絶望する。

 

真っ青な空と照り付ける太陽、直視できない眩しさに希望を見出す。

人も日光を浴びる事が大事らしい。詳しい事はわからないけど、確かに少しだけ思考が前向きになるような気はする。

 

でも時刻と日付を見てしまったらもう、絶望する。

 

 

俺は今、毎月収入を得られない。

だから一ヶ月間は、眠っていたい。

そうすれば無駄な光熱費も食費も医療費もかからない。月日も変わって季節も変わって、税金やら何やらの支払いであっさりカネが消えてく中でも一度くらいはマクドナルドに行ける。

 

 

釣りに行って魚を調達してくるにも、ガソリンは消費する。これなら車を手放して生活保護を受けた方が賢い選択。それはわかってる。

でも、車の無い生活は高校を出てから経験が無い。いずれ社会復帰できるようになっても就業先は徒歩圏内か公共交通機関を使って通える場所に限られる。そしてもし疲れたなぁって、仕事終わりに海を眺めたくなってもそれができなくなるのは嫌だと意固地になって今の生活を選んだ。自分で選んだから、中身の無い空洞のような毎日を送ってる事に後悔はしてない。ただ、長過ぎる。

耐えられるだろうか。こっちでの釣りのピークは9月〜10月。それを逃しながら空を眺めるこの生活にきっと、嫌気がさすだろう。

 

こうなったのは自分のせいで、性格的な問題だと思ってる。病気って何だ。でも薬が無いと眠れないのが現実。食事も拒絶してしまう。

 

働かざる者食うべからず。

立つ鳥跡を濁さず。

苦は楽の種。

 

先人達の色んな言葉が、頭をよぎる。

せめて眠い、腹減った、暑い、寒いくらいは感じたい。今を生きてるって思いたい。

 

今の自分は、どれも感じられない。

これから先の事、明日の事、今日の事。

考えてしまえば引っ込み思案になり行動しない傾向がある。だから直感に任せて無理とか無謀とか感じる前にひたすら動いた。

三年間、好き勝手やってみた。結果として、元いた場所に戻って、息を潜めて暮らしてる。

得たものは何だ?

動いてなければ出会うはずの無かった仲間ができた。日本各地の人、世界各地の人、言葉や文化の違いなど、自分がこれまで思っていたほど大きな問題じゃ無かった。同じ人間として、忙しい日は疲れ喉も渇いた。同じく、汗をかいた。日常会話で使うような言葉を教わったり、なんとなくだけど、自然と笑えてた日もあった。

あとは無知の恐ろしさか。知らないのが愚かなんじゃなくて、これは知らないまま生き抜いた方が良いなって思った事がたくさんあった。

 

良いものは良いし、悪いものは悪い。当たり前の事なんだろうけど。

それがわからなくなってたから、土食ったりしてたんだろう。あれは食える実なんだなって、野生の猿にすら知らなかった事を教わった。

身をもって体験してみて、良いと思ったものは皆に教えたいと思う。悪いと思った事は知らないままでいて欲しいと思う。この日本という国に生まれ、幼い頃から刷り込まれてきた数々のイメージ、固定概念を覆したいと思う。

知って欲しい、本質を。

大袈裟かもしれないけど、この国はこれから衰退していくだろうと思った。ややこしい言葉、遠回しの探り、聞いただけの知識。

 

いかに間違った情報や認識に操作されながら生きてきてたか、思い知った。

 

メイドインジャパンっていうブランドがいつか中華製って言われるような時代になるのはそんな遠い話じゃない。

 

 

国の人間を相手にして、大多数の反感を買ってまで戦う気は無いし、自分で潰れてくのもわかってる。

だから、わかって欲しい人にだけでもわかってもらえれば、俺はそれで良い。