杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

ヒラメとワタシのエトセトラ

なんだろう?

味も好きなんだけど、やっぱギャップかな?あの姿形から想像できないスピードとパワー。ギザギザの歯。ハートマークの目。狂おしい。

どうしてもその存在を釣りたくて、仕事前も仕事帰りも休日も毎日のように歩き回ってた。

もう、12~3年も前の話。

 

釣具屋さんに聞いてみても、三沢や六ヶ所では釣れるけど、八戸じゃ厳しいよって。サーファーの集まる砂浜で釣れた事を聞いたことがあるよって空撮マップで見せてくれて、早速行ってみたけど浅くて全然釣れる気がしなくて、岩に引っ掛けて終了。

その頃は夏の暑い頃だった。仕事終わりに海岸沿いを走りながら暗くなるまで砂浜の波を睨み付けて、そのまま階上の漁港に行ってソイを釣る。そんなルーティン。

そこである日気付いたのは、全然根掛かりしないポイントがある事。ジグを恐る恐る投げても、たまに海藻が引っ掛かるくらいでほとんど根掛かりしなかった。砂地なんだろう。

 

自分はアナログ人間で、一応、ノートに手書きで日付と場所、潮周りと釣りをした時間、乗ったテトラの位置や砂浜の状況を記録してた。今思えば、その時間を投げる時間にしたらって思うけど、ルアーを失くすのが怖かった。

 

ヒラメが釣れないまま夏が終わり、9月に入った頃、サビキのハイシーズン。

白銀埠頭で豆アジと小サバを爆釣してる軽トラお爺さんに話し掛けた。

「大漁ですね!全部唐揚げにするんですか?」

って。そしたらお爺さん笑いながら、

「んだ、さっき針に全部掛けようと遊んでたらデカいの食ってきてよ、バラしたけど多分ヒラメだべな。前に釣れた事あんだ。」

え、んじゃここらにまだいるんじゃないの!?って思って、ソフトルアーで隅っこの方を探ってみた。

したらガツンときた!でも巻き上げ途中で軽くなってバラした。回収したワームをみたら、見たことない引っ掻き傷がついてて。フグならボロボロにするし、これってやっぱもしかして、ヒラメか!?そう思って粘ったけど、それっきり音沙汰無しだった。

 

館鼻の先端の電灯の下、照らされた海面には小魚の群れがたくさん、イソメのデカいようなバチがウネウネ、ワタリガニなんかが北京ダックのように泳いでるのが見える。

もう9月も半ばだった。平日の夜中、誰もいないそこでウキ釣りでサバを釣るのがなんとも面白くてやってた。でもだんだん飽きてきて、何を思ったかシーバスロッドでジグを投げ始めた。普通の30gくらいのやつ。そしたら一投目の着底で重くなった。早速ビニール袋か、それともヒトデか。グリグリとすんなり巻き上げ、水面をスケーティングしてきた物体を覗き込むと茶色い?カレイ?いや、ヒラメだ!!抜き上げようとしたら急に暴れてフックが外れ逃がしてしまった。完全に油断していた。すぐにワームで周囲を探った。しつこいくらい。左の壁際から右の壁際まで5°くらいずつ、とにかくネチネチと。そしたらガゴンと何かが食った。ガッチリ針にかけて浮いてきたそれは茶色い生命体、抜き上げて堤防にペタリといるその魚は紛れもなくヒラメだった。口がでかい。針を外そうとすると歯が鋭く触れた指から血が流れた。暴れるとカレイより高くビタンビタン跳ねる気がする。

これが、初めての出会い。膝が震えたのを今でも鮮明に覚えている。

 

それから翌年、そのまた翌年と八戸の砂浜や漁港でも釣れ、階上、岩手県北でも安定して釣れるようになっていった。

八戸を数年離れているうちに誰もいなかった八戸のサーフに釣り人がびっくりするくらい増えたんだって。嬉しいような、寂しいような、複雑な気持ちだ。でも立入禁止が増えてしまえば、そうもなるよな。

前々から聞いてた三沢、六ヶ所方面は店員さんが言ってた通り良く釣れた。たぶん今もそうだろう。

 

いつからかアイナメやソイよりも身近な魚になっていて、ある年、1人で挑戦をした事がある。一年で100匹釣れるか。

一匹一匹、ケータイのカメラで撮りながらひたすらヒラメだけを求めた。

釣り雑誌には載っていないような、わかった事がたくさん増えた。

潮通し、離岸流、濁り、時間帯、どれも大切な要素。それでも最重要なのはベイト。その次に先に述べた要素の組み合わせ。

ヒラメ用ルアーにもたくさん種類があって、そこからさらにたくさんのカラーがあり、その中から選択しなければならないのは、自分のような貧乏人には辛い。一つ2000円のルアーを買って、一投目でラインが切れて飛んでった時は本当に凹んだ。そりゃ、雑誌の情報にもすがりたくなるのがわかる。

 

ヒラメ一択として最初に何を選ぶべきか。

まずは時間と場所。

朝夕なのか、昼なのか、夜なのか。

サーフなのか、漁港や堤防なのか。

 

・朝夕のサーフならフローティング(シンキング)ミノー、メタルジグ。ミノーは場所にもよるが底スレスレまで潜らないもので良く、飛距離はそこまで必要無い。手返しを優先して次々と歩く。離岸流を見付けたら少し粘ってみる。メタルジグは少し方向を変えて投げ直す。ボトムスイミングで食ってくる。リールはどちらも歩く程度の速度で巻けばOK。

・昼のサーフなら離岸流周辺から攻めてみる。ヘビーシンキングミノー、メタルジグ、メタルバイブ。ただ巻きよりもリフト&フォールやストップ&ゴーの不規則な動きの方が大物が食ってくる率が高い。あまり粘らず歩く方が良い。

・夜サーフは常夜灯があれば朝夕同様に狙える。

・朝夕の漁港、堤防は底を取れるギリギリの軽さのジグヘッドにシャッド系ワームが無難。ボトムまでフリーフォールさせてからスイミングかリフト&フォールで狙う。

・昼の漁港、堤防では少し変わる。漁港内は船通がポイント。重めのシンカーでボトムバンプ、ストップ&ゴー。根が絡んでいる場所は軽量ジグヘッドかテキサスリグにするのが無難。堤防からはメタルジグ、ヘビーシンキングミノーでボトム周辺をスイミング、リフト&フォールで探る。もちろんワームでもOK。サビキ釣りで賑わっていれば邪魔にならない範囲でワームをボトムスイミングで探ってみると釣れる時がある。

・夜の漁港、堤防はどちらも常夜灯周辺。あと船道。ダブルフックを上向きにセットしたバイブレーションやヘビーシンキングミノーでもいいが、灯りの切れ目くらいまで届けば十分で、シンプルにシャッド系ワームをジグヘッドもしくはテキサスリグで良い。常夜灯の直下に釣り座を構えられたなら少し遠投できた方が良くメタルジグも効く。常夜灯周辺に入れなくても先行者の邪魔にならない範囲で探りを入れる。ボトムスイミング、リフト&フォール共に効く。あとは常夜灯が無くても船通はチェックする。

 

潮周りは大潮が理想。

しかし上げが良いか下げが良いかはポイントによって変わる。大潮の下げ、河口などでは正直釣りづらい。シーバス狙いに変えるのもアリ。

小潮であっても澄み潮、笹濁りの程度であれば大潮の茶色く底荒れした濁りより全然釣れる。そんな時はやはり、シーバスへ(笑)

 

 

 

自分は好きな色のミノーを一つ、好きな色のスプーンを一つ、キラキラしたメタルジグを二色、ジグヘッドに装着した好きな色のワームを二色、これだけで100匹チャレンジは達成できた。

 

 

県外を放浪してた時も、この経験は役に立った。見せてなんぼ。気付かせてなんぼ。でも食うか食わないかは気分次第。

今、牛丼屋の前にいるのにどうしてもラーメンが良いって時もあるだろう。

完璧なパターンは無い。だからこの釣りというものは面白い。

 

 

今年からまた八戸で、一人の釣り人として、あんまりガツガツせず四季の魚を楽しめたらなと思う。

今年、2020。久々に指が動かないようなしばれる冬の朝、ワームで50アイナメを釣った。

少し暖かくなってきた夜にふらり、ワームでキープサイズのソイを釣った。

久々にジャリメでは無くアオイソメを針に付けてちょい投げ、カレイやハゼが釣れた。

夏のイメージだったサビキ餌も付けず、真イワシや豆アジ、小サバが釣れた。なんか、釣れ出し早くない?

じゃあもうヒラメも接岸しているだろうと、調査したら40オーバーが釣れた。

これからは青物、たくさん寄ってくれるかな?

 

ほんの小さな楽しみで良い。それが無いと、すぐダメになってしまう。

 

 

数年ぶりの八戸港周辺は、ポイントが結構変わっていて、また初心に戻って楽しめるような気がする。

これから暑くなるであろう。サーフ中心の釣りをしで有酸素運動、せめて5kgは痩せたい。肥え過ぎだ。

 

自然の恵み。食べて動いて健康を少しづつ取り戻していきたい。

 

 

 

~雑談~

全国各地でちょいちょいお世話になった釣具の上州屋がユニクロだったとこに移転して新しくなってたな。全国チェーンだったんだね。

ロッドやリールとか高価な物は買えないけど、ちょいちょい覗きには行きたいな。

 

 

明日は、雨。車検だ。