杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

普通

あの日見た虹

覚えているか?

七色した幻

明日はきっと晴れるから

おやすみ

 

 

痺れるような、痒いような、初期衝動を思い出す。

いたってシンプルで、人目なんて気にもならない位、夢中でいて躊躇もなかった。

次はどうするか、それしか考えなかった。それを今思い出したら、楽しかったなと思える。

 

あれやこれや、たくさんの事を気にし始めて、狂っていった。満たされない欲求は目の前のもの全てに向いて、時に人をも傷付けた。本当にごめんなさいと言いたい。

 

突然、うまくいかなくなった。

思うように表現ができない時が続いた。毎回。

日常生活において何をしてても常にモヤモヤした気持ちが消えなくなって、ついに音を出すのが恐くなってた。ものすごく神経質になっていた。

どう聴こえて、どう見えているか。

その反応から冷静に読み取る情報、それを勝手に解釈し、探り、考えてしまったら、楽しいわけが無い。そうなればもう、娯楽では無くビジネスだ。

歯止めが効かず、どうしても離れたくなった。

気付いてしまった以上、もう二度と戻れないと思う自分がいて、でもどこかで取り戻したかった。音楽の本質。

何が面白いのか、どうして面白いと思うのか。

 

 

見付けられないまま時が経った。

音楽の形が変わっていくのを客観的に感じていた。今、とてつもなく高度なエンタメものに感じる。動画に音声付きが普通。音源を聴いて、良いなって思ったらライブに足を運ぶという流れでは無くなった。

動画と音源の同時配信、その場に行かなくてもライブってこんな感じなのかってのを知れてしまう。

これが良いのか悪いのかは正直わからない。便利っちゃ便利、でもどこかもったいないような。

 

こういった変化を感じ取って今、初期衝動の大切さを改めて知れたような気がする。鳥肌が立つような、画面越しでは感じ取れないその場の空気感。これは映像と音声ではどうやっても表現しきれない部分なんじゃないかって思った。面白いのはここだと。

 

同じ場で、同じ目線で、同じ空気を共有する。

今のご時世まるでいけないシチュエーションだけど、また楽しいと思えそうな希望の空間。ライブハウス。

混乱した毎日だけど、一日も早く特効薬ができたり、効果的な対策方法が確立されると良いな。

 

 

決まったルーティンを少し外してみたら何かが変わるかもしれない。

いつもと同じ料理の中に、いつもと少しだけ違う調味料を入れてみたら何か起こるかもしれない。

時々で良いからその、かもしれないを取り入れて生命を全うしたい。

美味いか不味いか、その時に知るのが良い。

 

 

できる事を、できるうちに。

身体、心臓は一人一つ。

だから、できる範囲で面白く。

 

普通って、ほんと意味深な言葉。