杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

一本のロッド

どこに行くにも一緒だった

全国各地  津々浦々  春夏秋冬

 

趣味だった魚釣り

いつからか食料調達の為の

貴重な行為になってた

20代前半に手にしてから

十数年の間

腕の一部にまでなった一本のロッド

無ければきっとどこかで餓えて死んでた

大袈裟なようで

本当の話

 

 

去年のある日

太刀打ちできない魚とコンタクト

頑張ってくれた

完全に力負けしたけど

頑張ってくれた

 

 

先日

 

 

前触れ無く折れた

ポッキリ音を立てて折れた

波打ち際の攻防中

最後の魚は元気なアメマス

過去のたくさんの場面が浮かんできて

じわじわと心も折れていった

 

モノとして考えたら

代わりはいくらでも売ってる

でも代わりにはならない

同じでも同じじゃない

買い直す気が起きない

そもそも買い直せない

 

あの日から

足も腰も気持ちも重くなって

カレイは釣りに行くが

ほぼほぼ車内で待機

ぼんやりしながら

魚釣りとは別の事を考えてる

いつも

 

 

相棒よ

これまでありがとう

自然の中にいながら

喜んだり悔しんだりできた事

それらを忘れはしない