杉浦 剛の記事

感情を文字に、言葉に表情を。

ポケットモンスター、縮めてポケモン。

ポケモンマスターと呼ばれ、からかわれた時もあった。

初めて赤緑をあのゲームボーイでプレイしたのは小学四年の時。とても鮮明に覚えている。読書委員会という名目で、図書室の本を図書室で読むという一時限、六年生の仲良い先輩が攻略本の151匹図鑑を持ってきていて、俺はそれを読んでたちまち興味を持った。

捕まえる?戦わせる?なんだこれはと、試しに借りてプレイしたら愛着が湧いてしまって、返せと言われて家出したが見付かり泣きながら返した。

当時そろばんを習っていた俺は、もし次の試験に合格したらどうしても買って欲しいと無理を言って、婆ちゃんに買ってもらった。

ポケモントレーナーの設定は10歳か11歳らしい。当時は知らなかったが、それを知った時、自分も11歳になった頃だったなと、何か運命的なものを感じ、さらに深みにハマっていった。

リザードンはLv46でかえんほうしゃを覚える。

エレブーにタカギブーとニックネームをつけてみる。

どうぐの7番目でLv100にできる裏技。

どうぐの14番目でのミュウの裏技。

コロコロコミック限定企画で手に入った青バージョン。

最初の三匹全部手に入ってしまうピカチュウバージョン。

続編の金銀が発売延期になった待ちきれなさ。

 

好きだった子が四天王を倒せないって言うから、じゃあ俺がやっつける!って緊張しながらバラ公園で一緒に遊んだ。

 

中学も、高校も、社会人になってもポケットモンスターをプレイしていた。

俺はリザードン派で、カメックス派だと話すあいつと仲良くなった。

ポケモンなんて興味ないって、それをひっくり返して引き込んだ方。

 

オメガルビーアルファサファイアまで現役でプレイしてきたが、途中でやめた。

インターネットで攻略法や進化方法や覚えるレベルまでも全てがすぐに調べられる。

強さも数値で決まる。それはわかっていても、頑なに情報を遮断しながら、自分を画面に投影しながらプレイしてきた。何だコレっていう驚きや迷い、それを純粋に楽しんできた。インターネットを通じて知らないプレイヤーと戦ったらコテンパンにされるばかり。研究されたデータを基本に厳選、育成された方々には到底勝てなかった。

そりゃそうだよなって考えたら、急につまらなくなって、やめた。

どこにあるんだろう?どこに出現するんだろう?どっちに進むんだろう?

一ヶ月かけてクリアする自分と、情報を効率的に利用して一日足らずで攻略してしまう方々。どこか劣等感のような虚しさを感じながらも、新しいシリーズをプレイしてきた。

そんな積もっていたものが爆発して、ある時を境に突然冷めてしまった。

 

そう、これはあくまでゲームなんだと。

新しいバージョンが出て、その度に自分を投影して、新しい世界を見て感じる。ある意味本気でやっていて、いつまでもそうやって浸ってる自分って…と、そう思ってしまった。

 

 

 

 

俺はポケモンマスターじゃない。プレイヤーだ。

強くないし詳しくもない。でも本気でその世界に自分を投影する。それは11歳の頃から変わらない。

進めばその先に何があるかわからない。だから不安にもなる。道に迷って悩んだりもする。

でもそれで良い、それが良いんだって思った。楽しみ方は人それぞれ、自分が面白いようにやったら良いんだってようやく思い直せた。

 

 

何気なく部屋を片付けていたら見付けたホワイトブラックの予約特典のクリアファイル。

売っぱらおうとしてた3DSとソフト達。

ホワイトを選び、過去のデータを消去し、新たに第一歩を踏み出した。もう頭の中にはざっくりとしたストーリーしか覚えていない。ホワイトっていうタイトル通り、頭の中真っ白に、純粋に、とにかく思った通りにやったら、実に面白い。発見がたくさんある世界だ。

 

天井ばっか見てため息ついてる自分が忘れていたもの。

どれだけシリーズが変わって、もはや追い付けない世界に変わって行ってても、それでも良い。曖昧な記憶で、手持ちのシリーズを全部最初からやってみようと思う。

そうすれば現実のこの世界でも何か変えられるかもしれない。わからないけど、やってみなきゃ何も変わらないままだ。

 

 

行こう、ツタージャ